両親が大村市の野岳町に暮らし始めて、半年が過ぎた。
安価な建築材料を探して、職人さん達にめいっぱいご迷惑をおかけして、両親も一緒になって造った、小さな、小さな平屋建てである。
野岳町は、静かな野岳湖を囲み、雄大な郡岳を臨み、空港のある大村湾を眼下に従える、山間のいわゆる田舎だ。
週末には県内外から多くの家族連れや恋人たちがその自然を楽しみにやってくる。ゴルフ場やカート場、キャンプ場にテニスコートもあるし、地元の産品を使った食の楽しみも多い。
数年前から「スローライフ」だとか、「ロハス」だとか、自然との距離感をできるだけ近くして生活することを美徳とする言葉が多いけど、その意味が実感できるようになったのは、両親がここで暮らし始めてからだと思う。
つまりそれは、都会で有機栽培の野菜を使ったオーガニックなレストランに行き、ランチを楽しむときに得られるある種の微妙な満足感ではなく、庭にあるキュウリやトマトをもぎ取ってサラダに入れ、同じくサラダ菜で肉を包み、仲間内で作った地ビールの味が今回はどうだと月明かりの下で楽しく品評して、お隣さんが漬けた漬物をつまむようなことではないかと思うのだ。
かといってこの町の人たちは、最近流行のエコ聖人みたいなことではない。
普通に自動車を運転するし、都会と変わらないスーパーで買い物をし、ゴルフだって楽しむ。
ようするに、特別に節約した生活をおくるとか、環境に配慮するだとか、そういう感覚を持ち合せているわけではないのだ。
これが、いかにも自然で「暮らしやすい」ことのように思えてきた。
ところで写真は、ディプティックのフレグランスキャンドル。
ディプティックは1961年、パリはサンジェルマン通りに開店したインテリアショップ。このキャンドルは63年に発売されて以来、世界中の多くの人々に愛されている。
ラベルの可愛いデザインは、創業者の手描きによるもの。
大自然の中で夕刻からバスルームの窓を開け放し、このキャンドルの明かりとほのかな香りだけで楽しむバスタイムは、ボクみたいなオッサンがいうのは気持ち悪いけれど、本当に癒される。
こんな気分のときに見つめる雑貨のデザインが良いと、気分がいっそう良いものですね。