2009年7月アーカイブ

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長崎港を望む高台に新しくオープンしたホテル「ガーデンテラス長崎」を案内していただく機会がありました。

 

このホテルは建築家の隈研吾氏が総合プロデュースしたことでも有名で、現代のホテルにおける「モダン」のひとつを定義づけているといえるのかもしれません。

 

ランチのコースをいただいて、ホテル内を案内の方に連れられて散策。

写真は屋上テラスにある挙式用のガラスのチャペル。長崎の街が一望できて、素晴らしい眺めでした。

 

ところでガラス壁のチャペルは以前からの流行で、ボクのときもそうだったと憶えています。

クラシックなチャペルとモダンなガラスのチャペル、どちらか選択してください、ということだったような気がします。

 

日本の結婚式がどうしてホテルのチャペルでなければならないのか、永いあいだ式後のパーティが披露宴という形式を採ってきたためであるとは思いますが、冷静に考えれば考えるほど、どうも見せ掛けだけの、滑稽なものに感じてきます。

 

思いおこせば留学中のウィンターブレイクに無料でホームステイをするため、半年の間バプテストチャーチへ通った経験がありますが、米国やその他の国のカトリック教徒にとって、教会は精神の支柱であり、心のよりどころです。

世界中の有名建築の大半が人々の宗教の象徴であることからもわかりますが、彼らは真剣に、心から信心深く敬っているのです。

 

日本の新婦がより現代的に美しく見える晴れ舞台として、単純に教会が好まれるのでしょうね。

 

 

夜は先輩の義理のお母さんと夕食をご一緒させていただきましたが、いつもお若くてお洒落な方。年齢を重ねても、女性らしさというものをいつまでも感じさせる方は、憧れますね。

 

そのお母さまが香港のペニンシュラホテルを取り上げて、ホテルの本質がサービスにある、という話題で盛り上がりました。品格を失わずに歴史を重ねていく理由は、もちろん建築や間取り、調度品なんかのしつらえにも表れるでしょうけれど、やっぱりサービスなんですよね、という話。

 

滞在中、押し付けられるような感覚を一度も感じることなく、それでいて少しの不自由も感じない、絶妙なサービス。プライベートを閉塞するの温かな安心感と、非日常の開放的な高揚感をバランスよく与えてくれる、そんなホテルはやはり記憶に残って、「またあそこへ帰りたい」としばしば思うものです。

 

これから時を経て、どんなホテルになってゆくのか楽しみです。

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学生の頃からラルフ・ローレンが好きで、ポロシャツやTシャツはもちろん、ミリタリージャケットや水着、サンバイザーやサンダルやトートバッグ、オイルライターやフレグランスなどなど、これまでいろいろよく買いました。

 

でも学生のときに身につけていたものと同じものを今でも普通に買わせるなんて、これってなかなか商売としてスゴイことではないかな、と思います。

 

ご存知ラルフ・ローレンは世界が認めるトラディショナルウェアの雄ですが、パリコレに出展した初の米国ブランドとしても有名です。ブランドがファッションではなくライフスタイルとしての認識を受けた、初めての存在といってもいいかもしれません。

 

そうなった理由はさまざまでしょうけれど、人物としてのラルフ・ローレンが、自らが常に人生のスタイルを追い求めてきた男であり、いわゆるファッションを嫌っていることは密接に関係していそうです。

洋服を売りながらも斬新といわれることを嫌い、ホットであることを嫌う。そして無意味なビジネス慣習の伝統に倣うことを嫌うのです。

 

服好きが嵩じて自分の着たい服をつくり始め、いつのまにか世界中の人間が彼のスタイルを買ってゆく。

こんな簡単な図式を、現代のボクたちも思い出すべきなのかもしれません。

 

「モノやサービスを売る」ということを、自分たちの「スタイルを伝えながら賛同を得る」という行為へ昇華させていけば、不況の中でもビジネスの幸せは増えていきそうな気がします。

 

現代に生きる自分が欲しいものや嬉しいことを、純粋に提供してゆく。同じように感じてくれる仲間は、意外と多いのかもしれませんね。

 

この15年が経過して疲れ果てたニューバランスは、名品1300の限定復刻バージョン。

 

ラルフ・ローレンが愛用していたことを知ったのは購入した後でしたが、マイ・ヒーローと思いがけずスタイルがカブッてしまった?小さな幸せを、じんわりと感じたものです。

 

しかしそれを知ったがために、壊れたらきちんとニューバランスへ修理に出す羽目になってます(TT)。

 

まだ履けるなあ、と2000年、2005年の発売を見送ったので、いい加減来年くらい復刻版を出してくれないとね・・・もちませんよ。

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人が困っているときに、良くしてくれる方々がいます。

無償のナントカ・・・、というと表現がズレるかもしれませんが、もう自然に身体が動いてしまうのでしょう、

絶対的な信頼を預けられる希少な人たちです。

 

建築設計のお仕事を営まれている株式会社KUBUS(クーブス)の鶴田社長は、ボクにとってそんな方のひとり。

ホームページをつくろう!

というお話は以前からありましたが、とにかく忙しくされていて、私が忙しくしているときは社長も遠慮されるし、「お互いまずは目の前の仕事を大事に」ということで計画が始まるまでにしばらくかかりました。

 

それでも、ボクは早く作りたくてしょうがなかったのです。もちろん目の前の仕事は大切に、でも未来のお客さんがKUBUSを知ることは、建築家鶴田芳郎を知ることは、双方にとって同じように重要なことであると思えたからです。

 

一般に建築家のホームページといえば、クリエイティブな業種でもあり、万人の様々な趣向を持ったお客様に対応するためか、偏ったデザインやポリシーを排除したシンプルなイメージのものが好まれるようです。

 

鶴田社長ももちろん建築家として素晴らしいお仕事をなさっていますが、初めてのホームページからなんとしてもボクが伝えたかったことは、なにはさておき社長の「仕事の考え方」と「人柄」に尽きます。

 

建築家がホームページで伝えるべくは具体的な技術や柔軟で高いセンスだろう!

とおっしゃるかもしれませんが、それは実際に会ってみればわかること、社長の場合は「人とナリ」さえ伝えることが出来ればすべて大丈夫、そんな確信が最初からありました。

 

一度でも設計士と呼ばれる方と関わりを持ったことのある方なら、この意味がわかると思います。

 

だから構成はシンプルでありつつも、コンクリートのグレーを主体としてパステルを配した温かく柔らかなデザインイメージを前面に押し出しています。

 

テキストの校正についても全面的に信頼していただいて、「柄じゃない」と言われながら、サイトオープンが実現しました。

 

徹夜も土日もいとわず、車内にはくしゃくしゃになったアルマーニのタイが子どもの忘れたオモチャと一緒に無造作に放置してある、人間味あふれる温かい設計士さん、頼りになります!!

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日本全国で発行されているフリーペーパーの数はなんと千種類を超えているらしくて、総発行部数は2億を越えているそうです。

 

先日、「幻の」フリーペーパーといわれた「美少女図鑑」シリーズの長崎版を、手にとって眺める機会がありました。

 

無料のわりには質感的に完成され過ぎていて慣れない感じがありますが(ボクの持つフリーペーパーの概念がついていかない)、コンセプトは面白いなあと思っていたので、興味深く眺めさせていただきました。

 

無料でもらえて、保存可能なキチンとしたつくり。自分や友達かもしれない同じ年代の普通の子がモデルになれる身近さと、高い発行部数による露出への期待や満足感。かんっぜんに対象読者から外れているボクでも、手にする若い女性はさぞ楽しいだろうなと想像がつきます。たしかに、流行る理由が揃っていますよね。

 

ただ、これはボクだけかもしれませんが、あからさまな宣伝広告がほとんど見当たらないのにも関わらず、一見してお金のかかっていることのわかる「無料の媒体」について、瞬間的に遠慮したい衝動に駆られてしまうことがあります。

なぜだろうと考えると、出資しているであろうどこかの企業や業界組織の広告経費が企画自体を起こしてしまったような、情報誌本来の意義とは逆の雰囲気を、無意識のうちに探してしまうからのようです。

 

それはホットペッパー系のわかりやすい営利の仕組みから享受できる明るいサービスとはちょっとちがう感覚といえます。

 

ところで最近は「リトルプレス」と呼ばれるローカルな手づくり雑誌が見直されて、全国の各誌が注目されているそうです。かなり古くから刊行されているものもあったりしているから、人々が社会を形作るための生活にしっかり根付いて、本当に必要とされている内容を提供し続けているということでしょう。

 

もちろんフリーペーパーではないので、こちらはきちんと読者に料金を払ってもらう。企画・編集・制作・営業にかかる経費を、内容の対価として正当に売り上げることができているのです。

大手の有料雑誌が軒並み休刊に追い込まれるなか(STUDIO VOICEも終わりました)、なかなか面白い現象だと思いませんか。

 

長崎人の生活にダイレクトに根ざすような、いきいきとしたリトルプレス、創刊が待たれます・・・

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人々が望む新しい「自由」はいつでも、時間の経過と共にいつしか束縛を生むことになるようです。

なぜなら新しいものは歴史や様式を徐々に排除してゆきますが、実はその瞬間から「モダン」と捉えられた新しい活動の歴史が始まり、やはり同じように朽ちてゆく道を辿り始めるからです。

麹屋町のスタジオPHOTO STYLEによる「写真」を通した創作活動は、写真家松村琢磨氏の常に沸き立つ新たな感情を大切にしながらも、一方では古典といわれる基本的な品質を尊重し続ける姿勢が、その不の連鎖を止めてゆくことを可能にしているように見えます。

今回封筒用にお作りしたロゴデザインは、そんなところを表現したいと考えました。

ベースとして採用した<アヴァンギャルド・ゴシック体>は、20世紀タイポグラフィ界の第一人者であり、自由と個性を何よりも大切にしたハーブ・ルバーリンによって作られたもの。

モダンデザインはバウハウス運動によって世界へと広がりましたが、主流となったその新しい闊達なデザインは逆に隣り合う書体の自由を奪う結果を招きました。

いち早くその事象に気付いて警鐘を鳴らしたのがルバーリンであり、デザインの中に感情や歴史、そして様式の復権を促した彼は、デザイナーにとってのよりよい環境整備のため、誰もが簡単に使える書体を提供し、現在私たちが自由に扱える背景を提供した人物なのです。

60年代後半にそのルバーリンがギンズバーグと手掛けた「Avant Garde」というカッコイイ雑誌があって、今回のロゴはその代表的な書体をアレンジして、古いレコードジャケット風にスクエアの中に収めました。

素材はクラフト系のナチュラルな素材を使って古き良き!的な温かみを、インクは一色にして、お仕事の信念をあらわすようにシンプルなイメージを大切にしました。

松村さんはとても気さくで、作品同様、軽薄に飾ることを嫌う方です。
今回アレンジした特別なタイポグラフィの40年の歴史が、写真を手に取った現代のお客様にどのような印象で伝わるのか、考えると楽しくもあり、緊張もしてくるのです。

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