YUKINARI: 2009年8月アーカイブ

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こざき先生のご自宅兼アトリエで、襖(ふすま)の水墨画に囲まれながら、美味しいお茶とお菓子をいただいて、今日はいい気分です。

 

気さくな先生は、穏やかな奥様と一緒にいろいろと作品を見せてくださって、「楽しい時間はあっという間」とはまさにこのこと。

 

近々丸山公園に納められる制作中の龍馬像をはじめ、これまでの版画や水彩画、ガラス絵にオブジェ、陶芸など、ご自宅は「小崎侃美術館」と化していています。

 

こざき先生といえば「長崎」という土地にちなんだ作品が多いのですが、ボクは即興で描くこともあるという襖絵と版画の蔵書票、個人的にはこれが大好きです。

 

襖は障子と違って中国伝来ではなく平安時代の日本に誕生したといわれていますが、ボクにとっては幼い頃に家にあった松の絵+金粉みたいなのが薄汚く経年劣化してしまったイメージと、京都のお寺なんかで見るギンギンとまぶしいものの、どっちかでした。

 

写真はご自宅から見た長崎港に、先生がよく用いられるふくろう君。上部から山頭火さんの歌が入った、心落ち着く芸術作品に仕上がっています。

 

ちょっと考えれば、襖には部屋を隔てたり解放したりという便利な機能のほかに、ピシャッと閉めることで怒って見せたり、スーと開け閉めすることで「あなたは大切なお客様ですよ」と言ってみせたりする、いかにもジャパン的な良いモノなんですよね。

 

こざき先生の襖絵は楽しいから、ついつい眺めてしまいます。そうすると、襖というものの価値が甦ってくるんです。

 

魅力的なアートやデザインには、そういう力もあります。

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茂里町はココウォークのビヤガーデンからみた、銭座地区方面の山肌です。
(ヨーロッパではありません・・・言うまでもなく)

少なく見積もっても山の6割方まで住居が建てられているのがわかります。

山間に港が押し込んだ街なので、必然的にこういった場所まで居住区を拡げていく必要があったのでしょう。


この地形では自転車も使えないため、徒歩で疲れないように小道が縦横無尽に駆け巡り、
そのため建築材料などの重いものは馬で運ぶことになるわけです。

考えてみれば世界中のあらゆる街で、人はその場所にあった生活を創造していて、
人間と環境双方のあながえない絶対的な位置づけがこの一枚の写真から垣間見えてきます。

そうなると、街は環境が与えるオリジナリティを利用し追求することで輝くのであって、
なんでも大都市から移してくればいいという考えが不条理なことにも気づいてしまいます。

歴史ある街が時代とともにオリジナリティを失っていくことは、実は私たちが考えるより大きな問題なのかもしれません。

それはアジアにも必要だし、日本にももちろん必要です。

そして情報の発達した世界経済の端っこに暮らしたつもりでいるボクらは、
長崎のオリジナリティをいま改めて確認することを始めるべきなのかもしれませんね。

 

この日の長崎は精霊流しで、方々でけたたましく爆竹を鳴らしながら国道を精霊船が行列をつくっていました。
屋上でビールを飲んでいても、精霊船の鐘の音と火薬のはじける音は、風情を感じさせるものです。

昨年このブログで精霊流しのことを書いたことを思い出すと、あれからもう一年。
それはそれは適当な内容ではありますが、飽きっぽい性格でも意外と(?)続いているなあ、と驚きます。

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来年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の主役が長崎出身の福山雅治に決まってから、長崎ではその経済効果の波に乗れといわんばかりに、自治体でも民間でも、あちこちでいろんな試みが行われ始めています。

 

さてその坂本龍馬ですが、司馬遼太郎を読んだのは遠く学生時代のことでディテールを思い出せず(最近記憶力の低下に拍車が・・・)、龍馬なんだか竜馬なんだかわからないし、仕事柄少しは勉強しないといけないのですが、勉強する前にご依頼をいただいたりして、ちょっと慌ててしまいます。

 

しかもそのリョーマで有名な日本初の貿易商社である「亀山社中」は、ウチの事務所から一本道でたどり着ける、直線距離300mちょいのところ。それでもこの季節は言葉どおり「たどり着く」ように急な階段の続く坂道(龍馬通り)を登らなければならないので、タオルがないと行けません。

 

そんなおり、先輩が亀山社中の脇にカフェ「龍馬茶屋」をオープンするということで、メニューやショップカードを作りました。

 

最近では戦国ギャルとか阿修羅展ギャルとか、若い女の子でもオッサンが舌を巻くほどの時代通がいるので、「龍馬茶屋」も対象はオールマイティに、和風+和風ではなくて少し洗練された雰囲気にしています。

 

写真はカードのほうですが、オモテには坂本家の家紋とリョーマの名言を、なんか現代に合いそう~、ということで挿し込んで、少し目の粗い上品な紙を使って柔らかさをだすようにしました。

 

お店は立地も良いし雰囲気も良く、亀山社中ともども丘の上にあって、寺町通りから歩くと結構しんどくてのども渇きますから、とてもイイ感じゃないかなと思います。長崎の老舗の美味しいコーヒーや復刻したバンザイサイダーも置いてあるし、ジュース類もけっこう選べて美味しいですよ。ビールもあります。

 

来年中は間違いなく営業していますが、もしかしたら、幻のカフェになるかも、・・・です。

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いつの頃からかサイが好きで、気づいたらどうしようもなく好きになりました。

ゾウにしてもキリンにしてもカバにしても、草食系の大型動物は
その巨体に対照的なつぶらな瞳が驚くほど優しく(見え?)て、
今にも涙が溢れて泣き出しそうな雰囲気をしています。

実際、ボクたちが一番近づく機会のあるゾウの目の下には、時々流す涙の後が残っていたりしますよね。
あくびの涙か、砂埃が目に入ってうっとおしいか、本当の理由はそのあたりなんでしょうけれど、
こちらとしてはどうもいたたまれなくなったりします。

その中でもサイは、哀しいほどイカツい外見をもって生まれていて、
鎧のような時代遅れの硬い皮膚に、デカいツノまでついています。

草しか食べないのに哺乳類「最強」と言われることもあるサイですが、
絶滅の危機にもあるという、損な役回り。

どう考えても現代に奇跡的に生き残ってしまっているかのようなちょっと可笑しいサイが、
たまらなく好きなんです。

写真は鍛冶屋町の陶芸「ゆとり炉」さんに、オーダーメイドで発注したシロサイです。
ボクが提供したのは、シロサイの写真を4点ほど。すごいでしょう??

店主の田崎さん、「試作だから」とおっしゃってとんでもない金額で譲っていただきましたが、
若かりし武豊のようなやわらかい笑顔とご好意に、遠慮なく感謝して持ち帰りました。

ところで、長崎でサイを見るならバイオパーク、ということになります。
昔は2頭いましたが、現在では写真の一頭だけ。
ますます退屈そうにしています。

バイオパークさん、仲間を呼んできてあげて、サイの園舎にもっと投資してください!
よろしくお願いいたします!!

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訊ねられるとなんとなく困ってしまう質問のひとつに、

 

「JAZZは好きですか?」 という問いがあります。

 

とくに耳に心地よく、精神をいろんな世界へいざなってくれる音楽として、

自分にとってJAZZと定義づける必要はないのかもしれませんが、

 

うっかり「好きです。」と応えてしまって、奏者の組み合わせであるとかアルバムの背景とか、そのまま話を拡げられてもマズいな、と考えたりします。

 

JAZZの世界は音楽の中でもいわゆる"趣味の世界"というヤツで、奥深くて、クラシックと同様に「聴き方」があるのではないか、とのある種の敷居を感じさせるんですね。

 

ボクがマイルス・デイビスやビル・エバンスなんかのアルバムが好きでも、いわゆるJAZZ好きの人間の前では、こういった超メジャー級をもってしてJAZZを語る資格はないのだろう、というジャンルの雰囲気があります。

 

目黒に住んでいたとき、『Swing JOURNAL』誌の方と知り合いになり、

「ジャズ、いいですよね~」と話を併せたら、ボクの未熟さを察知したのか、

翌週に大型ダンボール3箱のカセットテープが届きました。

 

あきらかに事務所で邪魔になっていたものが無造作に放り込まれた感じでホッとしましたが、

後にも先にも、一気に手にした音楽の量はこのときが最大でした。

 

ボクは嬉しくなって、かろうじて知っているものだけを取り出して片っ端から聴き始めたのですが、

これが苦痛になってくる。音楽が大好きなはずなのに、大量の音源を前にしてきつくなったんです。

 

このときからでしょうか。

この音楽は、聴き方があるのかな?? と、勘繰るようになったんです。

 

写真は、先日水辺の森レストランで行われた、日野皓正さんのライブ後のパーティ。

少し酔って気分が良くなったのか、ピアノマンと楽しそうに即興していました。

 

ボクといえば誘ってくれた先輩と運河脇の石にすわって、夜風に当たりながらビールを飲み、流れる生演奏のジャズを聴きながら、やっぱり

 

「JAZZって、いいよなあ。」

 

と感じていました。

 

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