YUKINARI: 2010年4月アーカイブ

P1000124.JPG

今は亡きクエンティン・クリスプが

「真実を話す人はみなおもしろい」

ということをあるデザインの講義で語ったといいます。
これは直感的で実に的を得ているように思います。

人が正直であるように心がけるだけで、皆が興味をもつということです。

ちなみに故クエンティン・クリスプはスティングの「English man in New York」のモデルとして、
そのPVにも主演したことで有名になった作家兼デザイナー兼・・・という、
ゲイであることを公言して波乱万丈の活動を続けた特異な人物です。

ですから、自らの人生から膿のように出た言葉とも言えるかもしれません。

しかし、彼(?)が講義でそう語ったわけは、デザインが多数に働きかけるものであるからです。

たとえばデザインの提供者であるボク自身が正直であり、その発信者であるクライアントが正直であるとき、協働して生まれるものに価値があるのですね。

このようなボクでも、そんな理想は幸いにして抱きながら仕事にあたっているわけですが、
仕事を含めた生活全般、もっと言うなら人生においてそうであることは、なかなかできることではない。

そう考えてみると、正直であることは簡単でいて、非常に難しいことなのです。

ただ、それを実現している数少ない人間や会社などの組織は、すごく魅力的です。
そして結果的には彼らこそが多くの人たちから支持されている気がします。

彼はまた、こんな印象的な言葉も残しています。

「人生とは、墓場へ行く途中で起きた、ある滑稽な出来事だった。」

ほんとうに人生はつかの間。
そのちょっとだけ与えられた時間を正直に生きることの素晴らしさについて、
ときどき気づく必要があるのかもしれません。

arita.JPG

毎年ゴールデンウィークになると、有田と隣町の波佐見を中心に陶器市が開かれます。

今日はそのゴールデンウィーク前の日曜日。

久しぶりに天気が素晴らしかったので、ドライブがてら白山陶器の醤油注しを買いに有田波佐見方面へ向かいました。

来週には凄い混雑になる有田でのんびりと店先をひやかしたあと、波佐見の白山陶器へ。
しかし残念ながら店舗は改装中。
まあ、白山の醤油注しは超定番なのではっきりいってどこでも買えるんですが、
買うと決めて出かけてきたからにはどうしても手に入れなければなりません。

あ、そうだと気づいて「花わくすい」へ。
しっかり目的を果たしたあとは、もちろん東彼杵ICまで一般道で。
お気に入りの川棚からそのぎへの海沿いの道を通って、帰路につきました。

写真は有田焼の平壺。直径50cmくらいあって華やか、見ていて楽しくなります。

お値段210万円ナリ。

 

有田は佐賀県、波佐見は長崎県。

有田焼も波佐見焼も、江戸時代に伊万里港から積み出されていた通称伊万里焼ですが、

どうしてここが県境になったのか、調べてみるのも楽しそうです。

 

「長崎の名物は何ですか」と訪ねられたとき、カステラ・ちゃんぽんも結構ですが、

個人的には、世界的に有名な「伊万里焼」の名前を出したらよいのに、とよく思うのです。

P1000083.JPG

 週末を利用して上海まで。


クライアントが建設中のマンションに使用する建材の調達に同行させていただいたわけですが、
外装材の永く飽きさせない色目や風合い、意匠的な経年劣化にもできるだけたえうる素材を選ぶお手伝い、というのが私の役目になりました。

もちろんマンション名及びロゴデザインも含めてのお話なのですが、
いまや「世界の上海」を5年ぶりにウロウロしたいという個人的な目的に突き動かされての参戦だったと言えます。
ご存知のように中国国内には世界のあらゆる産業の生産工場が集中していますが、なにせとんでもなく広いですよね。
時間のないボクたちにとっては中国第一の経済都市である上海で、地方から集まってくる商品サンプルを検討しようということになったわけです。

もちろん、そうまでして現地へ向かった理由は流通構造の中抜きによるコストの削減にありますが、
現物を確認しなきゃ工事採用はできないという事情もあり、オーナーも同行しての旅程でした。
しかし、「中国は生産工場だ」というこれまでの見方は、いい加減改めなくてはならないことを現地の事業家との会食から気付かされることになります。

つまり中国は世界一の生産工場である以前に、「世界髄一の消費大国」だという事実。


週末のVUITTONに入場制限の行列ができる上海は、富裕層の数だけで日本の人口に迫るといわれている中国経済の象徴。
中国はもはや安い労働力による素材や商品を日本へ仕入れる相手ではなく、
ボクらが質の良い商品やサービスを売りにいくべき市場だという見方が当然のようにできるし、
購買力のある彼らはメイド・イン・ジャパンの品質を真剣に欲しがっているのです。

以前から中国市場で成功する日本企業の話はたくさんありますし、商圏としての認識はもちろんあったのですが、事実として受け止めることができたのは今回久しぶりに訪ねたからなんですよね。

いつも自分の目で見て手で触らないと、物事の実感というのは沸かないものだと感じます。

幸いにも視察は大成功のうちに終わり、オーナーや設計士、建築の考えも昼夜を共にすることで感じあえたと思います。
まあ、時期的には上海万博は来月だし、帰国した午後にF1の上海GPが開催されるという哀しいスケジュールでしたが、もっと哀しかったのは、長崎が姉妹都市であることを知る上海人と最後まで巡り会えなかったことでしょうか・・・。

個人的にも朝はホテルの周辺を散策したり、時間を盗んでアート街「莫干山路50号」にも急行、
会食を終えた深夜からCLUB「MUSE」へ遊びに行ったりで相変わらずの貧乏根性、睡眠を惜しんだために風邪は治らず終いです。

 

P1000079.JPG

ガンホイでのファッションショー風パフォーマンス。通行人も興味津々。

 

P1000074.JPG 莫干山路50号は新進気鋭のアーティストが軒を連ねるギャラリー街。デートスポットみたい。

出張するときは、乗り物などの座席で皺になりにくいパンツだとか、脚からくる疲れが相手に伝わりにくいシューズだとか、多少なりキレイめに見えるジャケットを羽織ったりします。 

移動のあいだにせっかくのスーツのフォルムが崩れて、シャツがくたびれて、いかにも遠方からやってきたようなイメージを与えるよりは、はじめから少しカジュアルな崩し方をしておいた方がきちんと見える場合もあると思って。

 

自分的にスーツが基本であると考えてはいますが、弊社の仕事であるデザインの分野から派生するビジネス会話をお客様が話しやすいムードは、こちらがスーツでなくても良いような気も、最近はしています。契約時には正装でも、翌日の打ち合わせはデニムだったりという具合に。

ここまでツベコベ書くからには単純にラクしたいんじゃないのかといわれると、正直そうなんですが。

 

大阪出張の朝に履いた「visvim」のデッキシューズの口が、パカッと開きました。まさにパカッって感じで小学生の頃に校庭で起こるような出来事に驚きましたが、ハードユースがたたったのかもしれません。

すぐに「Alden」の革靴に履き替えましたが、ラクチンなvisvimを期待していたボクの足は、いつもより早く痛くなりました。

生来ボクの左足の甲は右足のそれよりも高くて、きっちり作りこまれている革靴はきついのです。理想としてはもちろんオーダーメイド靴なのですが、生活の拠点が長崎である以上、メンテナンスにストレスがあります。

実際、「オーダーメイド」といえば何かにつけ高級な印象がありますが、靴などの革製品については特に、首都圏に住んでいるなどメンテンスができる環境にあれば、良いものが比較的安価に維持できるのになあと残念になります。

 

ところでお邪魔した「レディースクリニック北浜」さまのご担当の方から、お土産に「五感-GOKAN」のケーキをいただきました。お客様から頂き物をするなんて、感激至極です。しかもクリニックへ行く道筋にこのお店はチェック済みで、打ち合わせ後に寄ってみようと思っていたのでそのタイミングに驚きました。

 

GOKAN7b.jpg


その五感の入っているなんともいえない佇まいのビルは大正11年の建築だそうで、皇居二重橋や奈良ホテルをつくった河合浩蔵さんの設計。古い建物はパティスリーや和菓子屋さんでなくとも、洋服屋さんでもなんでも、テナントの好感度が増しますよね。建物の威を借りる、ウチもいつかそんなことをしてみたいなあと夢見てしまいました。

 

日帰りの強行スケジュールでしたので、そのまま南堀江にあるこれまたお洒落な花屋さんへご挨拶。

 

まあ、なにせ大阪という土地は阪神タイガースとお笑いとたこ焼きみたいなイメージがボクの頭にも根づいていたのに、道は広いわ、緑は多いわ、清潔だわ、お洒落だわ、人は良いわで、暮らしていた東京よりも、ここって素晴らしいところではないのかね?と感じるようになりました。

 

今朝は帰りに新大阪駅で買った「Mannekenのシナモンワッフルを食べて幸せのうちに出社しましたが、スタッフへの土産には「赤福」です。ボクは赤福を食べたことがなくて、こないだの賞味期限事件をTVで観てから食べてみたくてしようがなかったのです。

 

感想は、「見たまんまの味」。それはそれで大事なことですよね。

このアーカイブについて

このページには、YUKINARI2010年4月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブはYUKINARI: 2010年3月です。

次のアーカイブはYUKINARI: 2010年5月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。