アート: 2009年9月アーカイブ

folkartjapan.JPG

 

先日、個人的に「本」を装丁したいという方がいらっしゃって、"和"の雰囲気がキーワードだったので、なんかないかな?と自宅の本棚をのんびり眺めていました。

 

取り出したのは1958年に発行された「THE FOLK ARTS OF JAPANMUNSTERBERG」という、アメリカ人が作った日本の古民藝本です。

当時東京のアメリカンクラブという団体が監修、デザインからタイポまで米国人デザイナーが作った和本ということで、和風テイストがより象徴的に表現されている予感がしたのです。

 

ページを捲ると、「to soetsu yanagi」とあり、日本民藝美への感謝を我々に教えてくれた、とあります。

 

柳宗悦は民藝に美を発見、美術史ではタブーだったこれらの美的価値を一般に紹介した有名人ですが、プロダクトデザイナー柳宗理のお父さんといえばもっとわかりやすいでしょうか。

ちなみに子どもや甥っ子は園芸家だったり陶芸家だったり、みんなそっち方面でホンモノの、コワい一族です・・・。

 

古くから「アート」と呼ばれる敷居の高いものは、特定の作家の個性的な感性や技術によって形づくられてきました。そこは民衆が立ち入れない(高尚な)別世界であって、その世界が認めたものが初めて、世の中で「素晴らしい」と賞賛を受ける構図になっています。

 

それが最近では、自らの趣向を公に示すことが良しとされる風潮も手伝って、私たちが無名の作家の作品に心を奪われ、多少の金額をいとわずに積極的に購入することは特別なことではなくなりました。

 

道端で売っていた手づくりの焼物のデザインが気に入ってつい買ってしまう、とか、昔から家の片隅にしまってあった照明が意外と格好いいことに気づいて、それにあわせた模様替えのための家具探しをはじめる、とか、ますます個人的なことになっているわけです。

 

つくり手の創意工夫が熱心にこもったプロダクトと、それを自らの感動の対象へと純粋に受け入れる購買人の関係は、楽しいですね。そこにはアートだろうがなんだろうがどうでもいい、感覚としての「美」を簡単に分かち合える空気があります。しかも、それを眺め、手に取るたびに楽しいとなれば言うことはありません。

 

氏も今年で生誕150年。

もし柳宗悦が現代にいたとしたらマスコミに引っ張りダコだろうなあ、と思いながら眺めていましたが、ほとんどの都道府県の民芸品が紹介されているこの本、長崎からは「ゼロ」でした・・・。

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