建築: 2010年4月アーカイブ

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 週末を利用して上海まで。


クライアントが建設中のマンションに使用する建材の調達に同行させていただいたわけですが、
外装材の永く飽きさせない色目や風合い、意匠的な経年劣化にもできるだけたえうる素材を選ぶお手伝い、というのが私の役目になりました。

もちろんマンション名及びロゴデザインも含めてのお話なのですが、
いまや「世界の上海」を5年ぶりにウロウロしたいという個人的な目的に突き動かされての参戦だったと言えます。
ご存知のように中国国内には世界のあらゆる産業の生産工場が集中していますが、なにせとんでもなく広いですよね。
時間のないボクたちにとっては中国第一の経済都市である上海で、地方から集まってくる商品サンプルを検討しようということになったわけです。

もちろん、そうまでして現地へ向かった理由は流通構造の中抜きによるコストの削減にありますが、
現物を確認しなきゃ工事採用はできないという事情もあり、オーナーも同行しての旅程でした。
しかし、「中国は生産工場だ」というこれまでの見方は、いい加減改めなくてはならないことを現地の事業家との会食から気付かされることになります。

つまり中国は世界一の生産工場である以前に、「世界髄一の消費大国」だという事実。


週末のVUITTONに入場制限の行列ができる上海は、富裕層の数だけで日本の人口に迫るといわれている中国経済の象徴。
中国はもはや安い労働力による素材や商品を日本へ仕入れる相手ではなく、
ボクらが質の良い商品やサービスを売りにいくべき市場だという見方が当然のようにできるし、
購買力のある彼らはメイド・イン・ジャパンの品質を真剣に欲しがっているのです。

以前から中国市場で成功する日本企業の話はたくさんありますし、商圏としての認識はもちろんあったのですが、事実として受け止めることができたのは今回久しぶりに訪ねたからなんですよね。

いつも自分の目で見て手で触らないと、物事の実感というのは沸かないものだと感じます。

幸いにも視察は大成功のうちに終わり、オーナーや設計士、建築の考えも昼夜を共にすることで感じあえたと思います。
まあ、時期的には上海万博は来月だし、帰国した午後にF1の上海GPが開催されるという哀しいスケジュールでしたが、もっと哀しかったのは、長崎が姉妹都市であることを知る上海人と最後まで巡り会えなかったことでしょうか・・・。

個人的にも朝はホテルの周辺を散策したり、時間を盗んでアート街「莫干山路50号」にも急行、
会食を終えた深夜からCLUB「MUSE」へ遊びに行ったりで相変わらずの貧乏根性、睡眠を惜しんだために風邪は治らず終いです。

 

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ガンホイでのファッションショー風パフォーマンス。通行人も興味津々。

 

P1000074.JPG 莫干山路50号は新進気鋭のアーティストが軒を連ねるギャラリー街。デートスポットみたい。

出張するときは、乗り物などの座席で皺になりにくいパンツだとか、脚からくる疲れが相手に伝わりにくいシューズだとか、多少なりキレイめに見えるジャケットを羽織ったりします。 

移動のあいだにせっかくのスーツのフォルムが崩れて、シャツがくたびれて、いかにも遠方からやってきたようなイメージを与えるよりは、はじめから少しカジュアルな崩し方をしておいた方がきちんと見える場合もあると思って。

 

自分的にスーツが基本であると考えてはいますが、弊社の仕事であるデザインの分野から派生するビジネス会話をお客様が話しやすいムードは、こちらがスーツでなくても良いような気も、最近はしています。契約時には正装でも、翌日の打ち合わせはデニムだったりという具合に。

ここまでツベコベ書くからには単純にラクしたいんじゃないのかといわれると、正直そうなんですが。

 

大阪出張の朝に履いた「visvim」のデッキシューズの口が、パカッと開きました。まさにパカッって感じで小学生の頃に校庭で起こるような出来事に驚きましたが、ハードユースがたたったのかもしれません。

すぐに「Alden」の革靴に履き替えましたが、ラクチンなvisvimを期待していたボクの足は、いつもより早く痛くなりました。

生来ボクの左足の甲は右足のそれよりも高くて、きっちり作りこまれている革靴はきついのです。理想としてはもちろんオーダーメイド靴なのですが、生活の拠点が長崎である以上、メンテナンスにストレスがあります。

実際、「オーダーメイド」といえば何かにつけ高級な印象がありますが、靴などの革製品については特に、首都圏に住んでいるなどメンテンスができる環境にあれば、良いものが比較的安価に維持できるのになあと残念になります。

 

ところでお邪魔した「レディースクリニック北浜」さまのご担当の方から、お土産に「五感-GOKAN」のケーキをいただきました。お客様から頂き物をするなんて、感激至極です。しかもクリニックへ行く道筋にこのお店はチェック済みで、打ち合わせ後に寄ってみようと思っていたのでそのタイミングに驚きました。

 

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その五感の入っているなんともいえない佇まいのビルは大正11年の建築だそうで、皇居二重橋や奈良ホテルをつくった河合浩蔵さんの設計。古い建物はパティスリーや和菓子屋さんでなくとも、洋服屋さんでもなんでも、テナントの好感度が増しますよね。建物の威を借りる、ウチもいつかそんなことをしてみたいなあと夢見てしまいました。

 

日帰りの強行スケジュールでしたので、そのまま南堀江にあるこれまたお洒落な花屋さんへご挨拶。

 

まあ、なにせ大阪という土地は阪神タイガースとお笑いとたこ焼きみたいなイメージがボクの頭にも根づいていたのに、道は広いわ、緑は多いわ、清潔だわ、お洒落だわ、人は良いわで、暮らしていた東京よりも、ここって素晴らしいところではないのかね?と感じるようになりました。

 

今朝は帰りに新大阪駅で買った「Mannekenのシナモンワッフルを食べて幸せのうちに出社しましたが、スタッフへの土産には「赤福」です。ボクは赤福を食べたことがなくて、こないだの賞味期限事件をTVで観てから食べてみたくてしようがなかったのです。

 

感想は、「見たまんまの味」。それはそれで大事なことですよね。

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