訊ねられるとなんとなく困ってしまう質問のひとつに、
「JAZZは好きですか?」 という問いがあります。
とくに耳に心地よく、精神をいろんな世界へいざなってくれる音楽として、
自分にとってJAZZと定義づける必要はないのかもしれませんが、
うっかり「好きです。」と応えてしまって、奏者の組み合わせであるとかアルバムの背景とか、そのまま話を拡げられてもマズいな、と考えたりします。
JAZZの世界は音楽の中でもいわゆる"趣味の世界"というヤツで、奥深くて、クラシックと同様に「聴き方」があるのではないか、とのある種の敷居を感じさせるんですね。
ボクがマイルス・デイビスやビル・エバンスなんかのアルバムが好きでも、いわゆるJAZZ好きの人間の前では、こういった超メジャー級をもってしてJAZZを語る資格はないのだろう、というジャンルの雰囲気があります。
目黒に住んでいたとき、『Swing JOURNAL』誌の方と知り合いになり、
「ジャズ、いいですよね~」と話を併せたら、ボクの未熟さを察知したのか、
翌週に大型ダンボール3箱のカセットテープが届きました。
あきらかに事務所で邪魔になっていたものが無造作に放り込まれた感じでホッとしましたが、
後にも先にも、一気に手にした音楽の量はこのときが最大でした。
ボクは嬉しくなって、かろうじて知っているものだけを取り出して片っ端から聴き始めたのですが、
これが苦痛になってくる。音楽が大好きなはずなのに、大量の音源を前にしてきつくなったんです。
このときからでしょうか。
この音楽は、聴き方があるのかな?? と、勘繰るようになったんです。
写真は、先日水辺の森レストランで行われた、日野皓正さんのライブ後のパーティ。
少し酔って気分が良くなったのか、ピアノマンと楽しそうに即興していました。
ボクといえば誘ってくれた先輩と運河脇の石にすわって、夜風に当たりながらビールを飲み、流れる生演奏のジャズを聴きながら、やっぱり
「JAZZって、いいよなあ。」
と感じていました。