今は亡きクエンティン・クリスプが
「真実を話す人はみなおもしろい」
ということをあるデザインの講義で語ったといいます。
これは直感的で実に的を得ているように思います。
人が正直であるように心がけるだけで、皆が興味をもつということです。
ちなみに故クエンティン・クリスプはスティングの「English man in New York」のモデルとして、
そのPVにも主演したことで有名になった作家兼デザイナー兼・・・という、
ゲイであることを公言して波乱万丈の活動を続けた特異な人物です。
ですから、自らの人生から膿のように出た言葉とも言えるかもしれません。
しかし、彼(?)が講義でそう語ったわけは、デザインが多数に働きかけるものであるからです。
たとえばデザインの提供者であるボク自身が正直であり、その発信者であるクライアントが正直であるとき、協働して生まれるものに価値があるのですね。
このようなボクでも、そんな理想は幸いにして抱きながら仕事にあたっているわけですが、
仕事を含めた生活全般、もっと言うなら人生においてそうであることは、なかなかできることではない。
そう考えてみると、正直であることは簡単でいて、非常に難しいことなのです。
ただ、それを実現している数少ない人間や会社などの組織は、すごく魅力的です。
そして結果的には彼らこそが多くの人たちから支持されている気がします。
彼はまた、こんな印象的な言葉も残しています。
「人生とは、墓場へ行く途中で起きた、ある滑稽な出来事だった。」
ほんとうに人生はつかの間。
そのちょっとだけ与えられた時間を正直に生きることの素晴らしさについて、
ときどき気づく必要があるのかもしれません。