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 週末を利用して上海まで。


クライアントが建設中のマンションに使用する建材の調達に同行させていただいたわけですが、
外装材の永く飽きさせない色目や風合い、意匠的な経年劣化にもできるだけたえうる素材を選ぶお手伝い、というのが私の役目になりました。

もちろんマンション名及びロゴデザインも含めてのお話なのですが、
いまや「世界の上海」を5年ぶりにウロウロしたいという個人的な目的に突き動かされての参戦だったと言えます。
ご存知のように中国国内には世界のあらゆる産業の生産工場が集中していますが、なにせとんでもなく広いですよね。
時間のないボクたちにとっては中国第一の経済都市である上海で、地方から集まってくる商品サンプルを検討しようということになったわけです。

もちろん、そうまでして現地へ向かった理由は流通構造の中抜きによるコストの削減にありますが、
現物を確認しなきゃ工事採用はできないという事情もあり、オーナーも同行しての旅程でした。
しかし、「中国は生産工場だ」というこれまでの見方は、いい加減改めなくてはならないことを現地の事業家との会食から気付かされることになります。

つまり中国は世界一の生産工場である以前に、「世界髄一の消費大国」だという事実。


週末のVUITTONに入場制限の行列ができる上海は、富裕層の数だけで日本の人口に迫るといわれている中国経済の象徴。
中国はもはや安い労働力による素材や商品を日本へ仕入れる相手ではなく、
ボクらが質の良い商品やサービスを売りにいくべき市場だという見方が当然のようにできるし、
購買力のある彼らはメイド・イン・ジャパンの品質を真剣に欲しがっているのです。

以前から中国市場で成功する日本企業の話はたくさんありますし、商圏としての認識はもちろんあったのですが、事実として受け止めることができたのは今回久しぶりに訪ねたからなんですよね。

いつも自分の目で見て手で触らないと、物事の実感というのは沸かないものだと感じます。

幸いにも視察は大成功のうちに終わり、オーナーや設計士、建築の考えも昼夜を共にすることで感じあえたと思います。
まあ、時期的には上海万博は来月だし、帰国した午後にF1の上海GPが開催されるという哀しいスケジュールでしたが、もっと哀しかったのは、長崎が姉妹都市であることを知る上海人と最後まで巡り会えなかったことでしょうか・・・。

個人的にも朝はホテルの周辺を散策したり、時間を盗んでアート街「莫干山路50号」にも急行、
会食を終えた深夜からCLUB「MUSE」へ遊びに行ったりで相変わらずの貧乏根性、睡眠を惜しんだために風邪は治らず終いです。

 

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ガンホイでのファッションショー風パフォーマンス。通行人も興味津々。

 

P1000074.JPG 莫干山路50号は新進気鋭のアーティストが軒を連ねるギャラリー街。デートスポットみたい。

出張するときは、乗り物などの座席で皺になりにくいパンツだとか、脚からくる疲れが相手に伝わりにくいシューズだとか、多少なりキレイめに見えるジャケットを羽織ったりします。 

移動のあいだにせっかくのスーツのフォルムが崩れて、シャツがくたびれて、いかにも遠方からやってきたようなイメージを与えるよりは、はじめから少しカジュアルな崩し方をしておいた方がきちんと見える場合もあると思って。

 

自分的にスーツが基本であると考えてはいますが、弊社の仕事であるデザインの分野から派生するビジネス会話をお客様が話しやすいムードは、こちらがスーツでなくても良いような気も、最近はしています。契約時には正装でも、翌日の打ち合わせはデニムだったりという具合に。

ここまでツベコベ書くからには単純にラクしたいんじゃないのかといわれると、正直そうなんですが。

 

大阪出張の朝に履いた「visvim」のデッキシューズの口が、パカッと開きました。まさにパカッって感じで小学生の頃に校庭で起こるような出来事に驚きましたが、ハードユースがたたったのかもしれません。

すぐに「Alden」の革靴に履き替えましたが、ラクチンなvisvimを期待していたボクの足は、いつもより早く痛くなりました。

生来ボクの左足の甲は右足のそれよりも高くて、きっちり作りこまれている革靴はきついのです。理想としてはもちろんオーダーメイド靴なのですが、生活の拠点が長崎である以上、メンテナンスにストレスがあります。

実際、「オーダーメイド」といえば何かにつけ高級な印象がありますが、靴などの革製品については特に、首都圏に住んでいるなどメンテンスができる環境にあれば、良いものが比較的安価に維持できるのになあと残念になります。

 

ところでお邪魔した「レディースクリニック北浜」さまのご担当の方から、お土産に「五感-GOKAN」のケーキをいただきました。お客様から頂き物をするなんて、感激至極です。しかもクリニックへ行く道筋にこのお店はチェック済みで、打ち合わせ後に寄ってみようと思っていたのでそのタイミングに驚きました。

 

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その五感の入っているなんともいえない佇まいのビルは大正11年の建築だそうで、皇居二重橋や奈良ホテルをつくった河合浩蔵さんの設計。古い建物はパティスリーや和菓子屋さんでなくとも、洋服屋さんでもなんでも、テナントの好感度が増しますよね。建物の威を借りる、ウチもいつかそんなことをしてみたいなあと夢見てしまいました。

 

日帰りの強行スケジュールでしたので、そのまま南堀江にあるこれまたお洒落な花屋さんへご挨拶。

 

まあ、なにせ大阪という土地は阪神タイガースとお笑いとたこ焼きみたいなイメージがボクの頭にも根づいていたのに、道は広いわ、緑は多いわ、清潔だわ、お洒落だわ、人は良いわで、暮らしていた東京よりも、ここって素晴らしいところではないのかね?と感じるようになりました。

 

今朝は帰りに新大阪駅で買った「Mannekenのシナモンワッフルを食べて幸せのうちに出社しましたが、スタッフへの土産には「赤福」です。ボクは赤福を食べたことがなくて、こないだの賞味期限事件をTVで観てから食べてみたくてしようがなかったのです。

 

感想は、「見たまんまの味」。それはそれで大事なことですよね。

 

 

DOOSANARTCENTER.JPG近いのに訪れたことのなかったお隣り韓国はソウルへ。

 

仕事の関係なので2日間の強行日程でしたが、せっかくなので無理やりにスケジュールを押し込んできました。

 

鍋と焼肉と韓定食、世界遺産を強引に訪ねて韓国コスメを手土産に戻るという、まあ最近の大学生でもやらない旅となったわけですが、それなりに楽しめました。

 

成田羽田問題で揺れる日本とは裏腹に、仁川国際空港にはやられた!という感じだったし、若者のエネルギーも正直日本より感じました。サッカー韓国代表しかしらないボクにとっては、イメージのキャンセルができたかもしれません。

 

世界遺産の「宗廊」も好きな建物でした。シンプルの極みかもしれませんね。

ヘンリー・D・ソローを引き合いに出さずとも、シンプルなデザインと言うのは求めるべきものでありながらも、最も難しいとされることがあります。

 

冬の空気と濁った空に刺さる枯れ枝や、屋根の残り雪の気配、自然と調和した見事な出で立ちは、立ちすくんだまま身体を李朝期に引っ張ってくれるようでした。

これが大都会の真ん中に位置していることを不思議というよりは、「多くの人々が理性を持ち、時代を経て生きている」ということを素直に感じずにはいられません(2年前に南大門が放火で焼失したので、これからはどうなるか解りませんが)。

 

ところで李朝期といえば白磁や家具などはシンプルで質の高いデザインとして現在でも愛されていますが、ボクにとってはなかなか手の届かない、というよりお目にかかることのないものだっただけに、もともと接点がありませんでした。

一年ほど前に収集家の方からコレクションを見せて頂く機会があって、なるほど見事なものだとうっとりしたわけです。

 

 

ゴルフ場が良いとは聞かないのでいつまた訪れるかはわかりませんが、こうして旅先で動きまわるのもたまには良いものだ思い出させてくれました。

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写真は連休中、夜の長崎空港。

 

長崎の空港は箕島という大村湾の島を利用した、世界初の海上空港です。

 

とはいえ開港35年を数える空港ビルはお世辞にもキレイとはいえず、かといって「味のある」雰囲気だとはお世辞にもいえません。ただしその地味でモタついたデザインは次回建て替えの機会が来ればそれなりに洗練されるので良いでしょうし、深夜に出没する狸の軍団が有名な、ほとんど羽田線でしか利用されない地方空港としての独特の「におい」を感じるなら、実になんとも言えない感じに仕上がってきています(実際昔からヘンなにおいがする)。

 

全国各地の空港が抱える赤字が問題になって久しいですが、新幹線も来ていない長崎にとって空港は文字通りの「生命線」。旅行やビジネスのみならず、遠征に行く中高生や、進学した大学生、ショッピングにいくOLさんも、みんなここから。

 

ボクはこの空港が生まれ変わるならば、温かくて気の効いたもてなしを誇る、小さくても品の良いホテルを模したような空港になってくれないかな、と思うのです。ブランディングは服装からサービスの質にまで浸透させて、時間をかけて伝統をつくりあげていく。

 

歴史を大切にする長崎の空港に、流行の<取って付けたような>デザインをして欲しくないな、と思います。

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仕事の関係で、長崎のキリスト教について勉強しています。

 

日曜日の今日は、ド・ロ神父で有名な外海地区黒崎でお祭りがあっているというので、ちょっとお邪魔してきました。

 

ところで長崎県では25人にひとりがカトリック信徒で、全国の信者数の15%ほどを占めるというから、これはもう「カステラ・ちゃんぽん・カトリック」と言って良いほどの突出した特徴なわけです。

 

それに加えて、大浦天主堂は国宝第一号だし、浦上天主堂には日本で一番偉い人(表現が適切でない場合はご勘弁を)が座る椅子なんぞがございまして、なるほど世界遺産への登録を申請しているだけのことはあるものだと、地元でありながらいまさら感心する始末。

 

写真は1882年にド・ロ神父がポケットマネーで建立した外海で最初の教会堂、「出津教会堂」です。

 

ド・ロ神父という人は、28歳という若さで、この東の果ての島国の、そのまた西の果ての長崎にやってきて、そのまた田舎の外海に移っただけでも 「?」 がつきますが、ポケットマネーでこんな質実剛健な教会堂を私財で、しかも自分で建てるという 「??」 ぶり。

 

しかも大浦天主堂で石版印刷所を開設、学校を創設、パン工場・マカロニ工場・製粉工場・鰯網工場・保育所をつくったばかりか、茶園や防波堤もつくったという天才ぶり。

腸チフスが流行ると薬局をつくり、青年救護隊を編成するという、スーパーマルチ宣教師だったのです。

ふつう何かをつくるというと、出資したとか、編成したとかいう程度ですが、この人は自分で設計・施工するという、どうも信じられないようなすごい技術を28歳という若さでマスターしていたということになります。

 

こんなすごかったフランス人、もっと有名でもいいのになあ・・・。

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前日に決まったボクの大阪出張の目玉は、北区中ノ島の中央公会堂にありました。

この日本有数の公会堂建築は1913年に着工した重要文化財で、ネオルネッサンスとバロックの融合した、以前から興味のあった建物。

中に入れる時間ではなかったのがザンネンです。

カメラも iphone だったし・・・。

 

これまで大阪にはなぜか縁がなかったのですが、ボクの勝手な「汚い」イメージは一新されました。

大阪って、本当キレイな街だったんです!

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長崎港を望む高台に新しくオープンしたホテル「ガーデンテラス長崎」を案内していただく機会がありました。

 

このホテルは建築家の隈研吾氏が総合プロデュースしたことでも有名で、現代のホテルにおける「モダン」のひとつを定義づけているといえるのかもしれません。

 

ランチのコースをいただいて、ホテル内を案内の方に連れられて散策。

写真は屋上テラスにある挙式用のガラスのチャペル。長崎の街が一望できて、素晴らしい眺めでした。

 

ところでガラス壁のチャペルは以前からの流行で、ボクのときもそうだったと憶えています。

クラシックなチャペルとモダンなガラスのチャペル、どちらか選択してください、ということだったような気がします。

 

日本の結婚式がどうしてホテルのチャペルでなければならないのか、永いあいだ式後のパーティが披露宴という形式を採ってきたためであるとは思いますが、冷静に考えれば考えるほど、どうも見せ掛けだけの、滑稽なものに感じてきます。

 

思いおこせば留学中のウィンターブレイクに無料でホームステイをするため、半年の間バプテストチャーチへ通った経験がありますが、米国やその他の国のカトリック教徒にとって、教会は精神の支柱であり、心のよりどころです。

世界中の有名建築の大半が人々の宗教の象徴であることからもわかりますが、彼らは真剣に、心から信心深く敬っているのです。

 

日本の新婦がより現代的に美しく見える晴れ舞台として、単純に教会が好まれるのでしょうね。

 

 

夜は先輩の義理のお母さんと夕食をご一緒させていただきましたが、いつもお若くてお洒落な方。年齢を重ねても、女性らしさというものをいつまでも感じさせる方は、憧れますね。

 

そのお母さまが香港のペニンシュラホテルを取り上げて、ホテルの本質がサービスにある、という話題で盛り上がりました。品格を失わずに歴史を重ねていく理由は、もちろん建築や間取り、調度品なんかのしつらえにも表れるでしょうけれど、やっぱりサービスなんですよね、という話。

 

滞在中、押し付けられるような感覚を一度も感じることなく、それでいて少しの不自由も感じない、絶妙なサービス。プライベートを閉塞するの温かな安心感と、非日常の開放的な高揚感をバランスよく与えてくれる、そんなホテルはやはり記憶に残って、「またあそこへ帰りたい」としばしば思うものです。

 

これから時を経て、どんなホテルになってゆくのか楽しみです。

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人が困っているときに、良くしてくれる方々がいます。

無償のナントカ・・・、というと表現がズレるかもしれませんが、もう自然に身体が動いてしまうのでしょう、

絶対的な信頼を預けられる希少な人たちです。

 

建築設計のお仕事を営まれている株式会社KUBUS(クーブス)の鶴田社長は、ボクにとってそんな方のひとり。

ホームページをつくろう!

というお話は以前からありましたが、とにかく忙しくされていて、私が忙しくしているときは社長も遠慮されるし、「お互いまずは目の前の仕事を大事に」ということで計画が始まるまでにしばらくかかりました。

 

それでも、ボクは早く作りたくてしょうがなかったのです。もちろん目の前の仕事は大切に、でも未来のお客さんがKUBUSを知ることは、建築家鶴田芳郎を知ることは、双方にとって同じように重要なことであると思えたからです。

 

一般に建築家のホームページといえば、クリエイティブな業種でもあり、万人の様々な趣向を持ったお客様に対応するためか、偏ったデザインやポリシーを排除したシンプルなイメージのものが好まれるようです。

 

鶴田社長ももちろん建築家として素晴らしいお仕事をなさっていますが、初めてのホームページからなんとしてもボクが伝えたかったことは、なにはさておき社長の「仕事の考え方」と「人柄」に尽きます。

 

建築家がホームページで伝えるべくは具体的な技術や柔軟で高いセンスだろう!

とおっしゃるかもしれませんが、それは実際に会ってみればわかること、社長の場合は「人とナリ」さえ伝えることが出来ればすべて大丈夫、そんな確信が最初からありました。

 

一度でも設計士と呼ばれる方と関わりを持ったことのある方なら、この意味がわかると思います。

 

だから構成はシンプルでありつつも、コンクリートのグレーを主体としてパステルを配した温かく柔らかなデザインイメージを前面に押し出しています。

 

テキストの校正についても全面的に信頼していただいて、「柄じゃない」と言われながら、サイトオープンが実現しました。

 

徹夜も土日もいとわず、車内にはくしゃくしゃになったアルマーニのタイが子どもの忘れたオモチャと一緒に無造作に放置してある、人間味あふれる温かい設計士さん、頼りになります!!

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大村の野岳町に、本格石窯で焼く手づくりピザ屋さん「KANAISHI」がオープンしました。

 

「手づくり石窯ピザ」といっても、なんと石窯そのものから手づくりしてしまった!?ピザ屋さんです。

 

ローカルの仲良しの方々が集まって、「ピザ屋さんやろう!!」と決めたら早いこと早いこと。大工さんや鉄職人さん、いろんなプロが集まって休日に材料を持ち寄り、いっきに出来上がってしまいました。

ボクはいきなりロゴを持って来てといわれ、大至急作成したのが翌週には立派な木看板に・・・。これにはちょっとビックリしました。こんなことならもうちょっと気合を入れておくんだったかな、て感じです。

 

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店名の「かないし」は、石窯に使用できる石種のひとつ。

もちろんここの石窯はその「かないし」で出来ています。店内は楽しいウッド調で、玄関ドアの作りや意匠建具は必見です。客席の椅子は学校で使っていた懐かしいもの。肝心のピザも、手作りだけあって美味しいです。アンチョビも自家製、野菜は地元産。それにしてもこんなのを協力して簡単に作ってしまう仲間って、羨ましいですよね。

 

野岳町には、定年退職をした方が趣味を始めたり、若い方でもクリエイターの人が住み始めたり、趣向を凝らしたお店も増えてきていて、独自の文化が芽生え始めています。

 

そして・・・実は私の母がお店に出ています ; ^_^ )A。

皆さまお手柔らかに!?

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長崎のどこかにある、ご覧のとおりのバスタブです。

 

場所を明かせないのは、一般個人宅だからなのです。

 

広いガーデンの先に、幻想的な階段。

高台から一望する景色は、それはもう最高です。

素材はガラスで、照明が埋め込まれています。

おうち自体は権威ある建築賞を受賞。

 

なんとなく思い出しましたが、

久住なんかの高台の露天風呂に行くと

デッキに仁王立ちになる男性が多いのはなぜでしょう。

順番待ちになったりして・・・やってみると確かに気持ちいいのは不思議です。

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